SSブログ

東京喰種トーキョーグール|喰種に生まれ変わった悲劇 [週刊ヤングジャンプ]

舞台は東京。

主人公の金木研(カネキ)は、 上井大学国文科の一年生。

幼い頃に父親が亡くなり、母親が懸命に働き育てられていたが、親戚から度々無心され、そのお金の工面と自分たちの生活に働きすぎ他界。

親戚に引き取られたが、実子との愛情の差を感じながら生活しその後は一人暮らしを始める。

彼の人生の背景からすると、少しくらいは捻くれた性格になっていてもおかしくないかもしれない。

それでも母親の 「ケン、損をしたっていいのよ。優しい人はそれだけで幸せなの」という言葉と、あっけなく人生の幕を下ろした母を誇りに思う彼の愛情が、カネキが他人を思いやれる人間へと育てていた。

ただ、これはカネキがそのまま「普通の人間として普通の人生」を送っていた場合には効力を発揮していただろう。

しかし、カネキの人生はある日突然全く別のものへと変わってしまう。

事故により瀕死の状態に陥った彼の体はまさに普通の人間であったが、そうとは知らずに恋をした喰種の臓器を移植されてしまうのである。

それにより、半身は人間、残りの半身は喰種となってしまう。

喰種は人間の肉でしか空腹を満たせない。

もし、その状態で母親が生きていたらどうなっていただろうか。

母親さえも捕食の対象になっていたかもしれないし、彼はその欲求にまた別の絶望を感じていたことだろう。

その後、喰種として生きる彼の決意には母親の不条理な死や、変わってしまった自分自身を受け入れるまでの葛藤がある。

ある日突然正義のヒーローになった主人公が悪と戦うストーリーとは全く異なり、幸薄い主人公が保っていた普通を、自分と周りがズタボロに引き裂いていく、暗く悲しいストーリー。

だが、その悲しさが余計に読者の興味を深く引き付けるのだろう。

共通テーマ:コミック

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。